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つぐない



Atonement

■重さ ★★★★★★★★★★

■深さ ★★★★★★★★★★

■早さ ★★★☆☆


食べ物で例えると、
「3日間煮込んだ特濃カレーライス」


今回ばかりは、重さ・深さ10点評価です。(満点ですが)
もう、ほんと、ずしーーんときますよ。
観てから3日間は効いてきます

ザッツ 後遺症ムービー

だからといって悪いわけではないです。全く。
むしろ、これほどハイクオリティーな映画とは久しぶりに出会いました。

後遺症が残る覚悟があるのならば、、是非一度はご覧いただきたいです
しかしこの映画はエンターテイメントではないですね。

ちなみに私はというと、出演している女優さん(キーラ・ナイトレイ+シアーシャ・ローナン)が好き、という理由だけで観賞してしまったため、
見事に顔面パンチ食らった気分です。


―――以下ネタバレあり―――


*舞台の初めは1935年のイギリスです。タリス家の姉妹セシーリア(姉:キーラ)、ブライオニー(妹:シアーシャ)とタリス家の家政婦の息子ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)の3人の視点で物語は進んでいきます。1935年時分にはまだ12,3歳だったブライオニーは、セシーリアとロビーの関係が理解できていませんでした。恋に落ちる直前の二人の行動はブライオニーを困惑させ、ロビーからセシーリアへ渡すように言われた手紙を盗み見たブライオニーは、ロビーをヘンタイだと勘違いします。

セシーリアとロビーは秘密裏に結ばれるのですが、運悪くその最中をブライオニーに目撃されてしまいます。ブライオニーはいてもたってもいられず、たまたま来訪していたいとこのローラをレイプした犯人について、確証のないまま、ロビーであると証言してしまいます。ロビーはその咎で逮捕されてしまい、タリス家の姉妹含めて家族はちりぢりになってしまいました。

事件から数年後、ロビーは海外派遣軍としてフランスへ出征していました。セシーリアとブライオニーはそれぞれ別々に看護師の道を歩んでいます。ロビーとセシーリアはほんの短い間ですが、会う機会を持つことができ、お互いの変わらぬ想いを確認し、、そしてまた離ればなれになってしまいます。

出征は厳しく、ロビーは結局生きてイギリスに帰ってくることができませんでした。また、セシーリアも避難先で爆撃を受けて亡くなってしまいます。
大人になったブライオニーは、自分が幼い時に犯してしまった、取り返しのつかない罪を意識し、せめて小説の中だけでも二人に幸せになってほしいと、物語を書くのでした。


■とにかく重いテーマ

セシーリアとロビーが生きて再会し幸せになれるのであれば、この物語の印象はまた一変するでしょうが、それは悲しくも叶わないのですよ。二人とも死んじゃいますからね、
だからこそ、つぐない(贖罪)なわけですが。

一生かかっても償えない罪って、、、(涙)
謝りたくても謝るべき人がこの世にいなかったらどうしようもないですね。
ブライオニーおつです。

でもねえ、ほんとーに悪いのはブライオニーじゃないです。
ローラのくそびっちがやらかしてくれてますよ。
結局ローラをレイプしたのはポールなわけで、しかも数年後に二人は結婚してます。

こんな不条理があってたまるかーーい!!


例のワンシーンなのですが
ローラ「やられちゃった・・・グスン」
ブライオニー「大丈夫よ、犯人知ってるから!!」
ローラ「え、見てたの?」
ブライオニー「(よくわかんないけど悪いのは)ロビーでしょ?」
ローラ「(違うけどまあいっか)そうよあいつよ」

まじかーいい
違うだろーい


ローラ、君にはつくづくがっかりさせられたよ。
うっかりか、ちゃっかりかは知らんが、君が一番悪い(怒)


■重たいのは戦争のせいでもある

ただ単にブライオニーがちょっと間違えちゃって二人が引き裂かれました、っていうんじゃ、ここまで重たくはならないです。そして二人も遠からず幸せになれたことでしょう。

なにがって、戦争中なんですよ。

二人が最終的に結ばれなかったことを決定的にしているのは、
ブライオニーの嘘(厳密には嘘ではないけど)ではなく、
戦争なんです。
そして引き揚げを待っている派遣兵が海岸に集まっているシーン、3分くらいの長回しなんですよ。
長回し、つまり、映画の一番の見せ場が、そこですよ?
もう立派な反戦映画にジャンル分けされますよね。


■素晴らしい構成とリズム・音楽

重たい話ですが、どうしても重たくなってしまってはいますが、
無駄のない、洗練された素晴らしい構成で成り立っています。
そしてリズムも最高級です。

音を非常に上手く使ってるんですよね、、

タイプライターの音から、いつの間にか映画の主軸となるリズムが出来上がっています。
そのリズム(音楽)がどこか、ブライオニーの価値観・生きるスピードと重なってきて、映画を2.5培増しぐらいに魅せていると思います。
よっ、さすがアカデミー賞作曲賞!!

■やっぱりキーラは美しい

どっからどう見ても絵になります。
付け足しておくと、この映画はキーラ抜きでも絵になります。
一瞬一瞬が、美しいです。
「危険なメソッド」のときも同じようなこと書いたな。

■シアーシャ・ローナンは演技派です

ただの子役じゃないっすよ。
「ラブリー・ボーン」でシアーシャを初めて見たのですが、可愛い上にかなりの演技力です。まつ毛の一本一本まで神経質に考えて動かしている、そんな演技です。
ワンパターンの笑顔を見せてればいいだけのどっかの子役とは雲泥の差。
今回また好きになりました。




勝手に私なりの解釈を追加させていただくと、
この映画の中で起きていること、それは罪ではなく運命だと思います。
・ロビーがうっかり手紙を間違えた
・ロビーがうっかりブライオニーに手紙を託した
・ブライオニーが二人の逢瀬にばったり出くわした
・ポールとローラができちゃってた
・戦争中だった
偶然も3つ重なれば運命、とはよく言ったものですが、3つどころじゃございません。事件は、必然かと思えるほどいくつもの偶然をかいくぐって成立しています。
セシーリアとロビーの悲恋は実は運命としか言いようがないのに、それを自分の罪と信じて疑わず、死ぬまでその責め苦を負うブライオニーの虚しさ。救われないですねえ

など悶々と考え、ただ今絶賛後遺症中です。


こんなに非の打ちどころのない映画は5本指で数えられるほどしか観たことがありません。
ちょっと重たすぎてMBM(My Best Movie(笑))にはなりませんが、堂々の2位というところでしょうか。
ぜひぜひ。おすすめです。
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